上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
口や鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸までの上部消化管を直接観察する検査です。
この検査により、胃がんの、食道がん、十二指腸がん、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍などの病気の診断が可能です。必要に応じて、診断を行うことがあります。
検査時間は通常、5〜10分程度で、迅速かつ正確な診断を目指しています。鎮静剤の使用により苦痛を軽減する方法があります。
特殊光を選択して診断することがあります。胃カメラで大変な思いをされた方もいらっしゃいますが、
当院では患者様に合わせた快適な検査方法を提案し、安心して受けていただけるよう努めています。
【内視鏡システム】
当院の内視鏡検査ではFUJIFILM社製のBL 7000を光源に使用しております。
これはLED光源による2種類の特殊光で3つの異なった観察タイプを実現しており、微小な病変の観察をサポートする内視鏡システムです。
【内視鏡用炭酸ガス送気装置】
当院では大腸カメラ検査に内視鏡用炭酸ガス送気装置を使用しております。
空気の代わりに生体吸収性に優れている炭酸ガスを送気するので、検査中の膨満感からくる苦痛を緩和し、よりスムーズで、安全な検査を目指しています。
苦痛を軽減する胃内視鏡検査の特徴
嘔吐反応を軽減する細径内視鏡
直径5〜6ミリ程度の細い内視鏡を使用することで、この嘔吐反射を最小限に抑えることができます。
鼻からの胃内視鏡検査
経鼻内視鏡検査では、鼻から細い内視鏡を挿入するため、舌の根元に触れることがなく、嘔吐反射が起こりにくいです。麻酔は鼻のみに施すので、検査中も医師や看護師と会話ができ、安心感が高まります。
安静状態で検査ができる
ご希望により、少量の鎮静剤(静脈麻酔)を用いて眠ったまま内視鏡検査を受けることも可能です。この方法には2つの大きなメリットがあります。まず、「苦痛が限りなく少ない」点です。嘔吐反射や咳で苦しむことなく検査を受けられるため、特に嘔吐反射が強い患者様に有利です。また、鎮静剤の使用により喉や身体の力が抜け、内視鏡の挿入や観察がスムーズになるため、検査の質が向上します。検査後はリカバリールームで鎮静剤の効果が切れるまで休憩していただき、安心してご帰宅いただけます。ただし、鎮静剤使用後は自動車、バイク、自転車の運転はできませんのでご注意ください。
感染症に十分配慮した安心できる内視鏡検査
当院では、日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準拠した消毒衛生管理を実施しているため、安心して内視鏡検査を受けていただけます。
経口・経鼻内視鏡検査の利点と留意点
経口内視鏡検査
利点
- 細径内視鏡を採用しております。
- のどの嘔吐反射で心配な方は、鎮静剤を使用し、痛みや苦しさを少なく検査に臨めます。
留意点
- 鎮静剤を使用した場合、検査後に休憩していただく必要があるため、院内の滞在時間が長くなります。また、検査当日は自動車・バイク・自転車などの運転はできません(付き添いの方が必要になります)。
経鼻内視鏡検査
利点
- 内視鏡が舌のつけ根に触れにくく、経口内視鏡に比べて嘔吐反射が少ないので、挿入に苦痛が少ない方が多いです。
- 検査中に会話が可能で安心感が高まります。
留意点
- 鼻腔が狭い方の場合、鼻出血をきたす可能性があります。
- 鼻腔が狭く挿入が困難と判断した場合、実施できないことがあります。
- 鼻の疾患(アレルギー性鼻炎、強い副鼻腔炎など)がある場合は終具で、実施できないことがあります。
胃カメラはこのような方にお勧めです
症状がある方
- 胸やけ、胸のつかえ・痛み、のどの違和感(痛み)、慢性の咳
- 胃もたれ、食欲不振、上腹部やみぞおちの痛み
- 胆汁を含んだ黄色い水がこみ上げてくる、口の中が酸っぱい、苦い
- 貧血がある、黒い便が出た
- 過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
40歳以上で一度も胃内視鏡検査を受けたことがない方
胃がんは早期発見と早期治療が非常に重要です。ピロリ菌感染症、ピロリ菌除菌後の方、また40歳を越えると胃がんの罹患率が上昇するといわれているため、年に一度は胃内視鏡検査を検討することをお勧めしております。
その他
- 健康検診や人間ドックのバリウム検査で異常を指摘された方
- 健康診断でピロリ菌を指摘された方
- 血縁者に胃がんになった人がいる方
胃カメラでわかる代表的な疾患
- 逆流性食道炎
- バレット食道
- 食道がん
- 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
- 胃ポリープ
- 胃・十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 十二指腸がん
- ヘリコバクター・ピロリ感染症
逆流性食道炎
胃液が食道に逆流することで食道に炎症を引き起こします。よくみられる症状には、「胸やけ」「胃もたれ」「口が苦い」「喉の違和感」「長くつづく咳」などの症状を呈しますが無症状であることも多いです。症状が強い場合内服治療が必要です。
バレット食道
胃酸が長期間にわたり食道に逆流することで、食道の下部粘膜が胃の粘膜に置き換わる状態が生じます。この状態は食道がんの原因にもなるため、定期的な胃内視鏡検査が非常に重要です。
食道がん
多くは無症状ですが、のどや胸部の「不快感」や「つかえる」といった症状が現れることがあります。飲酒や喫煙の習慣がある方はリスクが高く(少量の飲酒で顔が赤くなる方は発がんリスクが高いことです。)、早期に食道がんが発見されれば、内視鏡治療などの体への負担が少ない治療が可能です。気になる症状がある方は、早めに胃内視鏡検査を受けることをお勧め致します。
萎縮性胃炎
腹部の不快感、上腹部の痛み、食欲不振などの症状が見られることがあります。主な原因はピロリ菌の感染ですが、自己免疫疾患による胃炎もあります。ピロリ菌感染は胃がんのリスクとなるため、除菌だけでなく、定期的な胃カメラをお勧めしており
胃ポリープ
通常は症状がありませんが、ポリープの種類を確認するために内視鏡検査が必要です。ポリープの種類によっては治療が必要ですが、無治療で経過観察をお勧めする場合があります。
胃・十二指腸潰瘍
上腹部や背中の痛み(胃潰瘍は食後に多く、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に多い傾向)が一般的な症状ですが、無症状であったり「胃もたれ」「吐き気」「お腹の張り」なども生じることがあります。潰瘍が進行すると出血し、吐血や血便が現れ、貧血を引き起こすことがあります。主な原因はピロリ菌ですが、喫煙・飲酒・過労などのストレスなども関係してきます。処方薬で改善されることが多く、市販薬で我慢せずに医師の受診をお勧めします。
胃がん
胃がんは胃壁の内側を覆う粘膜の細胞ががん細胞に変異し、異常に増殖する病気です。早期胃がんは粘膜または粘膜下層に限局しており、進行胃がんは筋層まで広がる場合があります。早期の段階ではほとんど自覚症状がなく、病変が進行すると上腹部の痛み、げっぷ、吐き気、腹部の不快感、貧血などが現れることがあります。早期発見で内視鏡による治療が可能な時代になっていますので、定期的に内視鏡検査を受けることが重要です。
ヘリコバクター・ピロリ感染症
ピロリ菌は胃の粘膜に寄生し、萎縮性胃炎を引き起こす細菌であり、胃や十二指腸の潰瘍、そして胃がんのリスクは10倍以上いわれ、ピロリ菌感染が確認された場合、内服薬による除菌治療を行うことで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防、そしてがんのリスクを低減することができます。
胃内視鏡検査の流れ
1.検査予約
(※事前診察の方は検査15分前に、電話・ネット予約の方は、検査30分前までに来院していただきます)
2.検査前日
3.検査当日
- 常用されているお薬は検査予約時の指示通りに服用してください。
- 水は20〜30mℓまでなら摂取可能です。
4.検査
※検査時間:5~10分程度
5.検査後
後日、医師より検査結果について説明があります。
鎮静剤を使用した場合、車等の運転はできませんのでご注意ください。
6.結果ご説明
組織採取した場合は組織診断報告をご説明致します
胃内視鏡検査の費用
1割負担
3割負担
胃内視鏡検査
(※生検なし)
1,160円
2,320円
3,490円
胃内視鏡検査
(1臓器)
2,480円
4,960円
7,450円
胃内視鏡検査
(2臓器)
3,650円
7,300円
10,960円
※生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です
※上記費用に診察料、薬剤料などが別途かかります
胃内視鏡検査 前後の注意事項
- 検査前日は、体調を整えるため早めの就寝を心がけてください。
- 鎮静剤を使用された方は、検査後、自転車やバイク、車の運転はできません。どなたかの付き添い、お迎えの手配が必要です。
- 経口内視鏡検査では、検査後1時間程度は咽頭麻酔が効いた状態になります。飲水や食事は誤嚥を起こす可能性がありますので、1時間以上経過してからとるようにしてください。
- 組織生検を行った場合、出血予防のため当日の飲酒は禁止です。激しい運動やサウナ、長時間の入浴も控えていただき、軽いシャワーなどでお済ませください。
- 検査後の食事制限はありませんが、なるべく消化の良い物をとるようにしてください。
申込みについて
この検査は予約制です。ご希望の方は予約ボタンから「内視鏡・エコーのご予約」を選んでお申し込みください